少年は楽には殺されなかった。
校舎から逃げ出した生徒や教師、近隣の住民たちは、校舎を取り囲むフェンスの外で、少年がなぶられる声を聞いた。あちこちに据えられた拡声器が、少年のやられる音を、逐一大音量で流していた。
悲鳴。苦鳴。殴る音。
コンクリートの砕ける音。血を吐く音。
(かわいそうに。もうこの左腕、使いものにならないわねぇ)
何か堅いものがぽきんと折れる音。
絶叫。
布の破れる音。甘く囁く声。
噛みしめられる歯の音。何かを揺する音。布の擦れる音。
か細い呻き。嘲笑。
(…………ぁ、ぁぁ……)
びちゃ、と何か液体の滴る音。
惨いことを……と誰かが言った。
誰も何も言えなかった。
夕暮れになり、日が沈んでいく。
人々は立ち尽くしたまま、その凄惨な処刑を聞き届けた。健太の絶叫がいつまでも響いていた。
夜が更け、朝日とともに、徹底的に辱められた少年が、見せしめとして、校舎の時計搭に磔にされた。
変わり果てたその姿を、正視できるものは誰もいなかった。
コメント
とってもいいですね
ありがとうございます。
ショタリョナもまた書いてみたいです〜。
サッカー少年で書いてほしい
プーマジャージがボロボロになる
みたいな感じで